さて今回は製品のライフサイクル(成長期)をご紹介します。
この時期は売上高が急速に増え、利益も急増する。顧客はイノベーターから、オピニオン・リーダー、早期大衆追随者に移ります。イノベーターは社交的というよりも強い意志をもった独立性の高い方が多いのに対して、オピニオン・リーダーは社交性があり、周囲の人の購買行動に影響を及ぼすような人が多い。イノベーターの製品使用経験を観察し、購買を決め、周囲の人に口コミで情報を流したり、ブログで情報を発信する。このオピニオン・リーダーの存在が市場を急速に成長させる要因でもあります。
この時期の特長は競争相手が続々と市場に参入してくるという点です。この競争相手に対する対応の仕方が戦略のポイントとなります。市場はどんどんと成長してますので、売上高も自然と伸びます。それよりもいかに他企業よりも成長できるかを考えることが重要となります。
ここでの結果が後にやってくる成熟期に自社ブランドがどのポジションを占めるかを決定します。成熟期では、業界全体が過剰生産設備に陥ってしまうような生産設備の投資は難しい。また顧客もブランド・スイッチも難しくなってきます。小売店も新たにシェルフ・スペースを確保することもないでしょう。成熟期に入ってからシェア争いは難しいので、この成長期ではいかに他社よりも成長することを追求しなければならない。
では成長期に競争相手よりも速いスピードで成長するためには、自社ブランドに対する選考(ブランド選考)を獲得することが不可欠になります。つまり他社ブランドよりも自社ブランドを選考してもらうようにしなければならない。本質機能を十分に保有した製品に補助的サービスの部分で差別化をしつつ、独自色を打ち出す。それにより顧客心を掴み、小売店のシェルフ・スペースを確保し、生産能力の対応を進めるというのが基本となります。
次に成長期のマーケティング・ミックスです。ブランド選考を確立し、他社以上に成長することを念頭に置いておけばよい。この時期になるとどの企業も本質サービスは何であり、どのようにしてそれを製品に作りこめばよいかを知っています。だから本質サービスでは他社とは差がつかないので、補助的サービスに目くばりをする必要があります。
また、この時期は製品の数量が大幅に伸びる時期であるから、チャンネルを開いて開放型チャンネル政策へと移行し、流通マージンを減らしていきます。プロモーションもプッシュ重視から、マスコミ利用のプル重視へと転換します。数量も伸び、コストも低下しますので、価格も大衆的な価格へと値下げをします。これがこの時期の定石になります。